1. 事業内容

テクセンドフォトマスク株式会社は、半導体用フォトマスクの製造・販売を専門とする企業であり、2022年4月にTOPPANグループから独立して事業を開始しました。フォトマスクは、半導体製造プロセスにおいて回路パターンをシリコンウェハ上に転写する重要な役割を果たします。当社は特にEUVフォトマスクを含む高精度な製品を提供し、外販フォトマスク市場で37.8％のシェアを誇ります。また、ナノインプリント技術を応用した新事業領域の開拓にも取り組んでおり、将来的な成長を目指しています。

2. 事業の特徴

• 高い技術力と品質
  テクセンドフォトマスクは、先端微細加工技術を駆使して高精度なフォトマスクを製造しています。特にEUVフォトマスクや位相シフトマスクなど、顧客の厳しい品質要求に応える製品を提供し、高い信頼性を確保しています。この技術力により、顧客からの安定した受注を獲得し、競争力を維持しています。

• グローバルな生産体制
  当社はアジア、米国、欧州に製造拠点を持ち、地産地消の原則に基づいて顧客の近くで生産を行っています。この体制により、短納期を実現し、需要の変動に応じた柔軟な生産委託が可能です。これにより、全体の稼働率を高め、効率的な生産を実現しています。

• 新事業領域の開拓
  フォトマスク事業で培った技術を活かし、ナノインプリント用モールドやシリコンステンシルマスクなどの新製品開発に取り組んでいます。特にARグラス向けのWaveguide用モールドの事業化を進めており、将来的な収益源の多様化を図っています。この新たな取り組みは、成長戦略の一環として重要な位置を占めています。

3. 経営成績の推移とその要因の分析

2025年3月期の売上収益は117,974百万円で、前期比10.2％増加しました。営業利益は28,199百万円で、前期比42.2％増、税引前利益は30,771百万円で34.4％増加しましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益は9,945百万円で38.2％減少しました。この減少は、前年同期に高い利益を上げたことによるベース効果や、競争の激化による価格圧力が影響しています。特に中国市場での競合増加が業績に影響を与えました。第1四半期の売上は30,076百万円で前年同期比0.9%増加しましたが、他製品の需要回復が鈍く、全体としては市場環境に影響を受ける状況が続いています。