1. 事業内容

株式会社ファイントゥデイホールディングスは、パーソナルケア製品の生産、マーケティング、販売を行う純粋持株会社です。1959年に設立された資生堂商事株式会社を前身とし、2021年に法人化されました。主にヘアケア、スキンケア、ボディケア製品を展開し、日本、中国・香港、APAC地域の11か国で事業を展開しています。自社の研究開発拠点を持ち、顧客ニーズに応じた製品開発を行い、成長するアジア市場において競争力を維持しています。

2. 事業の特徴

1. 多様なブランドポートフォリオ
   ファイントゥデイホールディングスは、fino、TSUBAKI、SENKA、unoなど、地域ごとのニーズに応じた強力なブランドを展開しています。特に、finoはトリートメント中心のヘアケアブランドとして、日本と中国での市場シェアを拡大しており、消費者から高い支持を受けています。これにより、各市場での競争力を強化しています。

2. 自社生産体制の確立
   埼玉県久喜市とベトナムに自社工場を持ち、製造からマーケティング、販売までを一貫して行う体制を構築しています。この体制により、迅速な製品開発と供給が可能となり、変化の激しい市場においても競争力を維持しています。特に、APAC地域での直接販売への移行が功を奏し、成長を促進しています。

3. ESGへの取り組み
   ファイントゥデイホールディングスは、環境・社会・ガバナンス（ESG）に配慮した経営を推進しています。気候変動への対応や人権尊重を重視し、サステナビリティを企業戦略に組み込むことで、社会的責任を果たしつつ企業価値の向上を目指しています。これにより、消費者や投資家からの信頼を獲得しています。

3. 経営成績の推移とその要因の分析

2023年12月期の売上収益は100,174百万円で、前期比7.5%減少しました。日本市場では42,648百万円（2.5%減）、中国・香港市場では40,218百万円（26.0%減）と大幅な減少が見られました。特に、中国市場では福島第一原子力発電所からの処理水放出に起因する日本製品の不買運動が影響しました。一方、APAC地域では17,307百万円（68.5%増）と成長を遂げ、自社の現地法人を通じた直接販売への移行が功を奏しました。営業利益は21,924百万円（40.1%増）に達し、広告宣伝費の適正化や企業結合に伴う負ののれん発生益が寄与しました。今後の成長戦略として地域別の市場開拓や新製品の投入が重要です。