1. 事業内容

株式会社北里コーポレーションは、不妊治療に特化した医療機器及び試薬の開発・製造・販売を行う企業です。主な製品には、人工授精や体外受精、細胞凍結保存、再生医療に関連する試薬や機器が含まれます。国内市場に加え、欧州、米国、中国、インドなどの国際市場にも展開しており、グループには複数の連結子会社が存在します。これにより、医療機器の製造から遺伝子検査、高齢者向け医療機器の販売まで、幅広いサービスを提供しています。

2. 事業の特徴

(1) 総合的な不妊治療支援

北里コーポレーションは、不妊治療における全ての工程に関与する製品を提供しています。卵子の採取から受精、培養、凍結保存、融解に至るまで、医療機関に必要な試薬や医療機器を一貫して供給することで、医療機関のニーズに応えています。この総合的なアプローチにより、患者の治療成功率を高めることが可能です。

(2) 高い技術力と品質

当社は、全ての製品を国内で製造し、「Made in Japan」の品質を重視しています。手作業による製造プロセスを通じて、数mmや数µm単位のカスタム製品を提供できる技術力を有し、ユーザーニーズに柔軟に対応しています。また、超急速ガラス化法を用いた凍結保存技術においては、世界的に先駆けて開発を行ってきた実績があります。

(3) グローバルな販売ネットワーク

北里コーポレーションは、世界約110ヵ国・地域で自社製品を販売しており、2025年4月30日時点で約80社の代理店ネットワークを有しています。特に米国や中国市場への展開を強化しており、現地の医療機関との連携を通じて、製品の使用状況やニーズを把握し、迅速に対応する体制を整えています。

3. 経営成績の推移とその要因の分析

2023年4月から2024年3月の第17期において、北里コーポレーションは売上高10,080百万円を達成し、前年同期比で7.8%の増加を記録しました。この成長は、特にMedia部門や医療機器部門の海外市場向け販売が伸長したことが要因です。営業利益は5,912百万円、経常利益は5,995百万円で、それぞれ前年同期比で15.3%及び17.2%の増加を見せました。親会社株主に帰属する当期純利益は3,972百万円で、前年同期比で17.9%の増加を達成しました。要因としては、製品の安定供給体制の強化や役員報酬の減少が挙げられ、特に海外市場での競争が激化している中でも、顧客ニーズに応じた製品開発を進めたことが業績向上に寄与しました。